第25回~上場株式の配当所得課税 -有利な課税方式の選択-(令和5年4月6日追記)
お早うございます。 税理士法人サムライズです。確定申告の真っただ中ですね。
今日は株式を購入して配当をもらっている方の配当所得についてです。 確定申告の参考にされてください!
上場株式の配当金は、所得税15.315%と住民税5%が源泉徴収済みの状態で支払われますが、課税方式の選択によって税負担が異なることをご存じですか?
課税方式の有利判定
【令和4年度まで】
・所得税で総合課税が有利となる場合
総合課税では、配当所得を事業所得、不動産所得など他の所得と合算して課税します。配当控除(1000万円以下10%、1000万円超5%)があるため、一般的には所得税では総所得金額が900万円未満(所得税率5~23%)の場合、総合課税が有利、900万円以上では、申告不要が有利となります。
総所得金額 所得税率(A) 配当控除(B) 判定A-B≷15.315%
900万未満 5~23% 10% 総合課税有利
900万以上 33~45% 5~10% 申告不要有利
・住民税では申告不要が有利
住民税では総合課税の場合、所得割10%に対し、配当控除2.8%(1000万円超は1.4%)後の負担額は特別徴収された5%を上回るため、申告不要が有利といえ ます。なお住民税で所得税と異なる課税方式を選択する場合は、その年の納税通知書送達日までに市区町村に住民税の申告書提出など所定の手続が必要となります。
--令和5年4月6日追記-------------------------------------
【令和5年度以後(令和4年度税制改正)】
令和 4 年度税制改正により、所得税と住民税の課税方式を一致させることが必要となりました。
その結果、課税方式の有利・不利の分かれ目は 900 万円以下から 695 万円以下となります。
課税所得金額 所得税率 住民税率 配当控除 正味税率 令和4年度以前 令和5年度以後
万円超 万円以下 (所+住)
195 5% 10% 12.8% 2.2% 総合課税有利 総合課税有利
195 330 10% 10% 12.8% 7.2% 総合課税有利 総合課税有利
330 695 20% 10% 12.8% 17.2% 総合課税有利 総合課税有利
695 900 23% 10% 12.8% 20.2% 総合課税有利 申告不要有利
900 1,000 33% 10% 12.8% 30.2% 申告不要有利 申告不要有利
1,000 1,800 33% 10% 6.4% 36.6% 申告不要有利 申告不要有利
1,800 4,000 40% 10% 6.4% 43.6% 申告不要有利 申告不要有利
4,000 45% 10% 6.4% 48.6% 申告不要有利 申告不要有利
※上記の有利・不利の判定は、社会保険の扶養範囲や国民健康保険料の負担などを考慮しないものとなっております。
各人の申告状況によっては、所得金額が 695 万円以下であっても申告不要を選択する方が有利な場合がございます。
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申告分離課税が有利となる場合
申告分離課税を選択した場合、上場株式の譲渡損失があると譲渡損失金額と配当所得金額とを損益通算し、相殺しきれない譲渡損失金額は翌年以後3年間にわたり各年の配当所得金額及び譲渡所得金額から繰越控除して税負担を減らすことができます。なお、繰越控除を受けるためには、譲渡損失を計上した年分の後も譲渡がない年を含め、連続して確定申告書の提出が必要です。
国民健康保険や介護保険の負担増に注意!
国民健康保険、後期高齢者医療保険、介護保険の保険料は、総所得金額等や合計所得金額をもとに算定されますので、住民税で総合課税または申告分離課税を選択すると譲渡所得、配当所得が増え、保険料も増加します。このため譲渡損失の損益通算及び繰越控除のメリットと保険料負担増のデメリットとの事前の比較検討が必要となります。所得税で総合課税や申告分離課税を選択しても住民税で申告不要を選択することにより、上場株式の譲渡所得、配当所得を保険料の算定に反映させなくすることも可能です。その場合も各市区町村に課税選択の手続を忘れずに行いましょう
今年もコロナウィルスの影響で確定申告期限が延長になりました。申告納税期限は令和3年4月15日(木)です。
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